FIREした人は本当に幸せなのか。
ここでは、FIRE後に聞かれてきた様々な質問に対する僕なりの回答をまとめていこうと思う。
FIREしたあとに働くことについてどう考えますか
FIREというのは、お金を貯めてその運用益をもとに仕事をせずに暮らすことのはず。
それなのにFIREしたあとに副業を拡大したり、仕事を受注したりするのは、それはFIREではなくただの独立じゃないですか。
寺澤さんはFIREした後に働くことについてどうお考えですか。
僕の回答
FIREを狭義に捉えなくてもいい
このご質問は今でもたまにTwitterなどで議論に出てくる内容ですね。
僕がFIREを決めた2021年頃は、まだFIREというと「お金を貯めて会社を辞める、そしてもう二度と働かない」いう考えが主流であり、FIRE後にどうやって収入を得ようかという発信に対し、「それってFIREじゃないよね」、「ただの独立じゃん」という声が今以上に多くみられたように思います。
もちろん「働かない」というのもFIREのひとつの形です。しかし僕は当時から、必ずしも「会社を辞めて、一切働かない」というように狭義にとらえなくてもいいのではないかと感じていました。
なにせ40代半ばから何もしないでボーっと生きていたら、頭がサビついてしまいます。それは僕の本意ではありません。
FIREの本質
僕が思うに、「FIREしたのに収入を得るために働かないといけないなんて矛盾してる」と感じてしまう人は、きっと会社でイヤイヤ仕事をしていて、「収入を得る=辛い思いをしながら働く」ととらえてしまっているのではないでしょうか。
勘違いしないでほしいのですが、「生きていくために、好きでもない仕事をする」の対義語は、「働かずに生きていく」はなくて、「好きなことで収入を得て生きていく」なのです。
別の言い方をすると、FIREのREは「朝から晩まで拘束されている会社員人生から抜け出して、いつ何をしてお金を稼いでもいい自由人になろう」ということです。FIREの本質は、「会社に所属しないとお金を得ることができない」という固定観念から脱却、意識の変革なのだと感じます。
この理屈では、FIREのREとはただ会社を辞めるというよりも、会社を辞めて好きなことで独立・起業するのに近い考え方だととらえた方がしっくりきます。
人生を何十年も過ごしてきた中で、誰もが「こういうことが好きだな、こういうことがやりたいな、こういうことで生きていけたら最高だな」と思うことを何かしらもっているはず。でも実際は日々の仕事に忙殺されてなかなか手が付けられていないという人が多いでしょう。
だからこそ、「ただ節約だけで何もしない人生よりも、生まれ変わって好きなことを好きなようにやろう」という生き方のほうが楽しいのではないでしょうか。
FIREとは人生の再スタート
上記より、僕が思い描いているREは、一般的に認識されているアーリーリタイアではなく、リスタート(REstart)もしくは リボーン(REborn)。すなわち「人生を再スタートさせよう、生まれ変わろう」というふうに捉えています。
加えて、1億円超という貯蓄に支えられた起業・独立は、生きていくためにリスクをとってでも早く結果を出さないといけない通常の起業・独立とはまったく気持ちが違いました。全然焦りが生まれないのです。
成功したらラッキー。仮に成功しなくても、好きなことをして生きていけるのだから幸せ。会社を辞める前は、ここまでポジティブな気持ちになれるとは考えていませんでした。1億円とは言わずとも、FIであることが心の安寧にものすごく繋がるのだなと実感します。
そしてこれが、冒頭の「何のストレスもなく、ゆるく自分の好きなときに好きなことをして楽しんで、それでいてその活動がお金を産み出すような、『遊びで生きる』といった自由な生き方をしよう」という考え方にもつながっています。
たとえば若いころに「ミュージシャンになりたい」とか、「絵で食っていきたい」と思いながらも現実を見て諦めた人が、40代、50代になって金銭的余裕を得た後に会社を辞めてYouTubeを通して音楽活動を始めたり、絵を好きなだけ描いてインターネットで販売しはじめたりすることを「FIREしたのに働いている」というのでしょうか。
僕はそうは思いません。夢を諦めた20代のころのように「この絵が売れなかったら食っていけない」という切羽詰まった状況ではなく、「この絵が売れなくても生きていける」という余裕がある状態だからこそ、改めて夢を追うべきだと思うのです。第2の人生のリスタート、最高じゃないですか?
このように、FIREをする前に確固たる「自分らしいFIRE像」を持っておくことが大切です。そして誰に何を言われても、まったく気にしなくていいのです。なぜなら、その人生におけるFIRE像は他の誰のものでもなく、あなた自身のものなのですから。
参考
このお話は、以下の書籍から抜粋しています。